講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5. 利用者の声
松村:  週4日の営業のようですが、銭湯を開業して何か気付いたことはありますか?
黒岩:  結構若い人たちも来るんですよ。建物のデザインが若年層を引きつけているのかもしれませんし、銭湯の使われ方が変わってきているのかもしれません。それからご高齢の利用者に目立ちますが、「使わせてもらってありがとうございました」と言って下さる方が多いですね。こうした声を聞くと、銭湯が求められていたんだなぁと実感します。それに平日の半分は、両親が番台に立っていて、ご近所さんなどと会話するいい機会になっているようです。
松村:  黒岩さんは構造設計事務所を営んでいます。そちらの仕事に支障はないんでしょうか?
黒岩:  働き方改革関連法が施行されて、残業はしない方針に変えました。所員が帰った事務所に一人だけ残っても、特に捗るわけでもないので、必要なら仕事を持って帰るようになりました。銭湯は夕方から始まるので、番台に立ちながらでもこなせます。
鈴木:  お話を聞いていると、狙い通り地域のコミュニケーションの場になっているようですね。ところで奥さんはどう思われましたか、銭湯を作るって聞いたときには。
黒岩:  妻に対する質問は、離婚を考えなかったのかという内容が多いですね。僕を変わり者扱いする取材も少なくないので。
黒岩(ヒロ子):  夫とは大学の同級生で、構造設計事務所でも一緒に仕事をしています。話を聞いたときはおもしろいと思ったんですけど、実際にやるとなると不安も大きかったですね、子供も小さいですから。でも離婚は考えなかったです(一同爆笑)。



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