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横山(ゆ): |
次は山手線から私鉄で20分程度の地域にあるT市です。
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横山(勝): |
やはり駅の辺りで犯罪は発生しています。
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松村: |
そうすると田舎では起きないということになりますか?
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横山(ゆ): |
では、北関東の地方都市、O市周辺の犯罪マップを紹介します。この図には財産犯ということで、住居侵入だけでなく、車上荒らしや引ったくりなども入っています。
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松村: |
やはり旧市街で犯罪発生数が多いということですか。
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横山(ゆ): |
旧市街以外にも、幹線道路沿い、特に高速道路のインターチェンジを結んで下を走る幹線道路沿いも多いですね。
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横山(勝): |
O市の方はアメリカの郊外と比較しやすいですね。T市のように鉄道と結び付いた郊外は駅を中心とした都市じゃないですか。一方、O市は明らかな車社会で、幹線沿いの大型店舗を利用するので、中心市街地はさびれてきている。つまり、住宅地はスプロールしているわけです。日本の人口は減り始めましたが、新築戸数は増えていますよね。核家族化が進んで、世帯数は増えている。地方では、今でも住宅メーカーや工務店が小規模な住宅地開発をしていて、田んぼの中にポツポツと住宅が建っている。こうした住宅地では車じゃないと買い物に行けない。
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鈴木: |
犯罪もスプロールしていると考えればよろしいのでしょうか?
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横山(勝): |
防犯理論の中にルーチン・アクティビティ理論というものがあります。犯罪を企てる人とターゲットが同じ空間・時間に出会い、監視者がないと犯罪が生じる、という当たり前といえば当たり前の説です。大規模スーパーなどロードサイドショップの集まるエリアはその典型的場所になります。犯罪もスプロールしていくんですよ。
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鈴木: |
そうした郊外の方がなんとなく不安だという印象がありますが、それは見る目が少ないからなのでしょうね。
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横山(勝): |
スプロールした田んぼの中の島のような住宅地では、見ている人が少ないわけです。犯罪者にとっては絶好のターゲットでしょうね。
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鈴木: |
先ほどアメリカの都心が不安だから郊外へ出ていったという話がありましたが、そこは安全なのですか?
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横山(ゆ): |
先ほどのデータは1000人当たりの発生数ですから、私たち日本人から見れば決して少ないとは言えないでしょうね。相対的に少ないということです。
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