講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5.郊外住宅地の世代間継承に向けて
角野:  早い話、ニュータウンの中古住宅市場をもっと活性化させて、外から新しい住民を入れないと、町として生き残れないと思うのです。すると、住宅は中古であっても外から移り住みたくなる住宅地の魅力とは何か、という問題に行き着きます。先ほども申し上げましたが、利便性が高いとか、自然環境が豊かだというだけでは、新たな住民は期待できない。必要なプラスアルファは何か、ということが問題になる。そこに住めば何ができるのか、そしてどんな気持ちになれるのか、ということが大切になってきます。

しかし、地域のコミュニティー活動が盛んですとか、お祭りもありますとか、お年寄りはちゃんと子供の見守りしてくれます、といった地縁的関係が濃すぎると、新しい住民は、逆に鬱陶しく感じる場合もある。しかも、お年寄りばかりの町に、ポツンと一軒の空き家ができて、そこに若い人が住みたいかというと、通常は敬遠されてしまう。不動産屋や仲介業者にヒアリングすると、はっきりとそう答えます。

では、どうしたらいいのか。私が考えていることは、一軒ではなく集団で入居できるようにすればいいのではないかということです。つまり、同じような子育て世代の人々を5軒でも10軒でも、同時期に近所に入居できるようにする。そうすると、ひょっとするとニュータウンの空き家を買ってくれるのではないか。いったん入ってしまえば、子育て世代の人々も、子供をお年寄りが面倒みてくれるのは非常にありがたいことですし、その住宅地の良さが分かると思うのです。要するに、入り口が問題なわけで、そこさえ何とかなれば、ちゃんとした郊外住宅地のよさは理解してもらえると思うのです。



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