講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.食を介した家族のコミュニケーション


次に、標準的な家庭教育としてのDIYという話をしたいと思います。子供が生まれてからは快適な日常生活のためのDIYから標準的な家庭教育のためのDIYへと少し変化して行きました。80年代終わりから90年代初めにかけてのことですが、子供が生まれておもちゃを買ってあげようと思っても、ろくなおもちゃがない。知育玩具が必ずしもいいとは思えないので何か面白い物はないかと探したところ、いくつか面白いと思う物を見つけたわけです。



その一つはディズニーの分解出来る時計です。ちゃんと全部分解出来るように部品が考えられていて、再び元に戻せるように軸と軸受けの口の部分がテーパーされています。ですから子供は全部自分で必ず組み上げられるわけです。これはすばらしいなと思って値段を見ると大幅に値下げされていて、お店の一番奥にあったのが驚きでした。こういうのはまったく売れないので、値下げしたそうです。そういうのをいくつか買い集めて、それ以上にもっとシンプルなのを与えたいということで、自分で作って持たせたりしていました。



そうこうするうちに子供の作業用テーブルを作りました。これはいくつも作りました。子供にとって一番嫌なのは片付けなさいと言われることです。大人も仕事がノっている時に別件が入って机のうえを片付けなければならないのは困るわけです。ですから僕は机だけは馬鹿でかくして、テーマごとに自分が移動したりしています。子供も同じだと考えて、子供が自由に出来るテーブルを作ってあげたいと思い、エレクターで足を作り、テーブルに枠を渡したのですね。そうすると中でネジを使っても部品がこぼれ落ちなくなります。小さい頃からこれを使わせて、ご飯になったら部品が落ちないようにプラスチックの板を載せてきなさいと言うことにしていました。これは大成功で、長男も長女も喜んで作業するようになりました。



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