講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.大阪編


4.Lifeは家でするもの
鈴木 よく「日本の家は寝るところだけ」と言われます。例えばモロッコではどうですか?
タレル そうですね、例えばモロッコではランチブレークが2時間あります。12時になるとみんなが一旦会社から帰宅して食事や休憩を取って、2時になるとまた出勤します。6時になったら必ず帰って、家族と一緒にテレビを見たりします。つまり「lifeは家で」ということです。
日本ではそうではありませんよね。勉強もみんな研究室でする。11時12時までいることがよくありますが、私は家で勉強した方がいいと思います。便利ですし、独りだから集中もできます。日本では家で「don’t spent much time」という考え方。ですから、住宅を設計する時も、寝室や朝食やお風呂のことなどは大切にしますが、それ以外は狭くても案外気にしていないんじゃないですか。これは文化の違いだと思います。
西田 日本では個室イコールベッドルームですが、モロッコでは個室が大きくて、また別のことができるのですか。
タレル ベッドルームはあくまでベッドルームです。ベッドルーム以外に自分の部屋があって、起きているときはそこで生活します。
鈴木 みなさんの話ばかり聞いてきましたが、逆に皆さんから日本人の生活について、何か質問はありますか?
ソムチット 先生方は家で一人、或いは夫婦二人でお酒を飲むことをどう思いますか。楽しいですか、それとも寂しいですか。
鈴木 両方ともありえますね。日本では一人で飲むという美学があるような気がします。少し違うかもしれませんが、山折哲雄さんという学者は、日本には「個」という概念はないが、「ひとり」という概念がある、と指摘されています。
ソムチット 私の国では一人で飲むのはちょっと変な感じがするので、必ず隣の人を呼びますよ。ですから、今でもたまに隣に住む日本人を呼びたくなる時があります。でも、呼んで良いものやらと迷うんです。
文化というと、日本の「お土産文化」は面白いと思います。どんな近いところに行っても必ずお土産を買って帰ります。韓国では海外旅行でないとお土産は買いませんから。
タレル 感情表現のあり方は文化そのものですよね。モロッコでは家族の間でも、ハグやチューなどは自然にします。日本では違いますので、やや冷たい感じがします。例えば1、2年間会っていない友達に対しても、軽く「こんにちは」「お疲れ」といった挨拶になります。Politeの面ではいいですが、親近感があまりありません。家族同士のrelationと他の人とのrelationがあまり変らないことについて、やはり違うなぁと思います。



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