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村口 |
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そのあたりも含めて多くの関係者に考えていただけたら、ということで提案しました。南側からのアクセスは強く意識しています。
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園田 |
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公団の昭和40年代の団地は建て替えないという前提に立てば、バルコニーアクセスが提案できれば、在宅介護のリアリティは出てくると思います。
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松村 |
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住戸内では完結しない部分があるので、周りでどんな面倒をみられるのかということで設計の条件が決まってきます。バルコニー側にエレベータを新設しアクセスできるようにすることのリアリティも、そこと関わってくるのではないでしょうか。
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園田 |
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居室の外と中で介護に関するサポートをどう仕分けるかということとも関係しますね。そういう問題を解いていかないと、個人のライフスタイルだけでは、条件設定できないと思います。
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松村 |
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村口先生はインテリアデザイナーですから、まず内から発想し始めますよね。しかし、そのコンセプトとバルコニーの改造や全棟全体のアクセスの新設といったことを結びつける仕事は一体誰がやることなのでしょうか?
例えば多摩ニュータウンの古い団地で考えますと、駅から住棟までのアクセスが高齢者にとって適当でないものになっています。昔は皆が若かったから、木々の間を通り曲がっていて多少高低差のある歩車分離がされている道を歩いていましたが、今やそこは自動車があまり通らないので、まるで森の中の危ない道になってしまって、なおかつ10分程歩かないと駅につかないことが高齢者にとっては重荷になっています。そこに住棟があって住戸がありますが、住戸だけで解決できる問題以外に、駅までのアクセスの問題等も解決しないと本当に生活が豊かにならないと思います。例えば、友達を迎え入れるようにしたが、アクセスが悪いので友達が来てくれない場合も考えられます。
そこで考えなければならないのは、住戸のレベル、住棟のレベル、地域のレベルのそれぞれでの問題がどのように整合してくるかということですが、それは誰が考えるべき問題なのでしょうか。
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