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7.棚田まなび隊の活動
菊地:  ところが今度は、「棚田を守る会」のメンバーも高齢化してきているという事態になっています。棚田を維持していくためには、やはり都市からの人的支援が必要です。その試みの一つとして、「棚田まなび隊」の取り組みを行なっています。これは、福岡市を中心とした都会の人達が、地元農家の指導を仰ぎながら、年間を通じ棚田の一連の耕作活動を行うというものです。つづらの棚田4枚をお借りして、年14回ほどの活動を行なっています。
松村:  棚田まなび隊の活動には、何名くらいが参加していますか。
菊地:  研究室の学生やOBOG、一般社会人など30名ほどが隊員になっていて、平均すると毎回20名ほどが参加しています。
松村:  どんな経緯で始まったんですか。
菊地:  我々がこの地域で最初に民家調査をしたのは2003年です。それから毎年行なうようになった調査では、集落の公民館をベースキャンプに使わせてもらったり、学生が住民のお宅に泊めてもらったり、地域の方々に大変お世話になりました。地域還元の意味も込めて、地元の小学校との協働プロジェクトもやりました。2004年には茅葺き民家、2010年には棚田をテーマにして、地元の小学生が研究室の学生のサポートのもとそれらを調べ、地域の方々に発表するワークショップを行ないました。
そんな経緯から、2012年の九州北部豪雨で大きな被害が出た時は、10年来交流を続けてきたこの地区に何か貢献できないかと考えました。その一つが、2013年から始まった「浮羽まるごと博物館」で、エコミュージアムの考え方にもとづくものです。「棚田まなび隊」はそこから派生した活動で、初年度は、2012年の九州北部豪雨で被害に遭った棚田の土砂の掻き出しから行いました。最初は1〜2年のつもりでした。それが、一般社会人も続けて参加してくれるようになり、棚田保全の試みとして取り組むことにして、現在まで5年にわたって続いています。





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