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3.新川・田篭地区の伝統的建造物群
菊地:  新川・田篭地区は、2012年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。この地区には、九州地方の民家として初めて重要文化財に指定された平川家住宅があります。この民家がコの字の棟を持つクド造りになっているため、この地区の民家の多くがクド造りであるかのように思われがちですが、平川家住宅以外にクド造りはありません。一方で、この地区の民家の屋根形状は実に多様です。屋根材も、以前は茅葺きが主体でしたが、明治に入ると上等な仕上げとして瓦葺きが広まり、さらに林業が発展した昭和初期には、茅葺きの上に杉皮を葺いた杉皮葺きも広まりました。
このように多様性に富んだ新川・田篭地区の民家ですが、今後の継承が難しくなっているのが実情です。例えば、「つづら棚田」のある葛籠集落では、私たちが調査に入った15年ほど前には9世帯が居住していましたが、現在は2世帯のみです。街から棚田の耕作に通っている人もいますが、空き家状態の民家も少なくありません。





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