松村: |
一時セキスイハイムがデシオという商品のコマーシャルで、渡瀬恒彦が課長か部長か知らんけど、部下を招いて「りっぱなお宅ですね」っていうのがあって、そのちょっと数年後に旭化成のへーベルハウスの建て替えのコマーシャルがあった。そのコマーシャルでは、仲人する部長の家に結婚する二人がやってきて「君たち家はどうするんだ」ということになって、「もう新しいの建てました」ということになって、しみじみと自分の家を見て、こんなとこに来てもらってどうやったんやろうか、「うちもそろそろ建て替えるか」みたいなしみじみとしたコマーシャルやったな。人も招けないぞと。
そう言えば、最近は大和ハウスのコマーシャルが面白い。顕微鏡を覘いていたら細胞が・・・
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鈴木: |
今は住宅やそこでの生活のイメージを売っていないんですか?
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松村: |
今はそういう具体的なイメージから入るのは駄目みたいね。
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鈴木: |
そういう意味ではコマーシャルの変遷というのはひとつあるかな。
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松村: |
実態として建っているのと、広告としてやっているのとは違うということになっているからなあ。今分からなくなっているみたいだね、前にある住宅メーカーの商品開発の人と話していたら、最近営業マンには「何も言うな」といっていますと。「空間を感じてもらえ」、と。下手に壁の仕上げの話とか、家具の話とかをすると、お客さんのほうが妙に知っているから、「家具は私こういうのがいいわ」といわれたときに、営業マンが分からないということになっている。下手に言うとぼろが出て信用を失うから「ただ空間を感じてくれ」といいなさいといっているといっていたねえ。
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鈴木: |
これまでのコマーシャルを全部まとめてみることは出来ないかなあ。
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松村: |
INAXは最近昔の広告をまとめて全部見れるようなDVDを出したね。
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鈴木: |
生活からは離れている感じなのね。
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松村: |
生活はもうイメージできないんじゃないかなあ。出来るイメージって貧しいイメージでしょう。すっごい広い部屋でおじいさんが孫に竹とんぼの作り方教えている様な嘘のイメージになるでしょう。ありえへんでしょう。
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鈴木: |
食べるものの方が生活イメージあるかなあ。
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松村: |
食いものってそういう意味じゃ大事だよね。地方の人たちの付き合いもやっぱり大切な時は食いものだもの。よく考えると。どっかから酒持ってきてくれて、鹿の肉もってきてくれて、誰かが子羊を丸ごと焼いてくれたりとか・・・
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鈴木: |
そういう文化はあるところにはやっぱりあるんだろうねえ。
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松村: |
やっぱりあるね。
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