『ごちゃまぜ』をめざして、
地域で経済が循環するまちづくりの可能性
-超少子高齢化、人口・世帯減少、プレAI期における後退戦への臨み方-
2) 大久保コレクティブ・タウン化計画
新宿区の空家率は12.6%ですが、その中で賃貸住宅における空家率は15.0%で、約1万7千戸が空き家となっています。家主メンタリティは、「建て替えしても空室リスクがあるから投資は抑制、家賃を下げて入居者に単身高齢困窮者が入るとトラブル・孤独死を抱える、それでも空室の方がマシ。どうしたらわからないから、そのまま放置。でも子供や孫には相続したい…」というものです。
新大久保ではNPOが、地域の空室・空き建物の悉皆調査を行い、物件のデータベースをつくりました。そして、「大久保コレクティブ・タウン化計画」として、空きアパートメントと商店・医療・介護施設等を地域の中に上手にネットワークすれば、アパートメントに住みながら施設にいるのと何も変わらない生活ができるという方法論が明確になりました。
新大久保では戸建て住宅の空き家も見つかっており、アパートメント型とは異なる、高齢者のシェア居住として利用する方法について、地域のNPOと明治大学園田研究室の協働で検討しました。今回の住宅セーフティネット法改正においてもシェア居住が重視されています。
大久保では「NPO法人自立支援センターふるさとの会」が地域福祉事業として、「まちカフェふるさと」という「総合相談窓口」を運営しています。ただ、開設から6年経っていますが、運営にかかる費用など今後の継続性が課題になっています。
以上のように空き家調査や地域資源の調査、家主さんとの調整など、事前の準備がとても大事です。家主さんは近くに生活支援のNPOがあることを知らないまま、空き家をそのまま所有しておられます。住宅セーフティネット法改正で位置づけられた居住支援法人は、こういうところが期待されています。
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