・平成26年7月住宅・土地統計調査(総務省)が最新の空き家数・空き家率を公開しました。全国の空き家数は約820万戸、空き家率は13.5%。両方ともに過去最高でした。
・平成26年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家特措法)が成立し、平成27年5月に完全施行されました。これにより管理不全空き家への対処が、法的に位置づけられました。
・空き家特措法のポイントは以下の5つのように整理されます。高齢者住宅の供給が促進されると考えられます。規制合理化の提言を、成熟社会居住研究会は進めてまいります。
1.市町村による空き家への立入調査
※これまで一部の自治体で空き家管理条例で対応していました。(平成26年10月までに401の自治体で施行)
2.固定資産税情報を利用した空き家所有者の把握
※これまで固定資産税情報の目的外利用は厳しく制限されていました。
3.特定空き家に対する助言・指導・勧告・命令・除却代執行
4.特定空き家に対して税制優遇措置が除外に
※特定空き家に対して、「住宅用地の特例」(固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3)が適用されなくなります。
5.国及び地方公共団体による空家等に関する施策の実施に要する費用に対する補助、地方交付税制度の拡充
このような新しい動きが始まった平成27年を「空き家元年」と呼ぶことができます。一方で、空き家特措法制定後もにも以下のような課題があります。成熟社会居住研究会では郊外住宅団地再生の重要なテーマとして、空き家の課題に取り組んでまいります。
空き家特措法における「特定空き家」は以下のように位置づけられていますが、特定空き家を誰がどのような基準で判断するかが、これからの重要な課題として残されています。
[1] 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
[2] 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
[3] 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
[4] その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
「空き家管理条例」においても、除却を判断するところまで至る例は秋田県大仙市のみです。近隣の苦情をもとにした勧告などは行われても、除却まで自治体が判断することは難しいという事情があります。一部自治体では除却の判断に委員会方式を採用(足立区など)していますが、区市町村が除却判断のデーターを揃える調査を行うには大きなコスト負担が必要になります。
自治体が「特定空き家」の判断を行う上でのコストやスタッフ確保の負担をどうするかが課題となっています。
管理不全の空き家を除却した後、空き地の適正管理が行われなければ、環境改善にはつながりません。
実際に、除却後のゴミ投棄や雑草繁茂の生じている事例があります。
築後年数が経ち、権利関係が輻輳しているケースでは、固定資産税情報での所有者把握も難しくなります。
建物と土地の所有者が別の場合、老朽化した建物の固定資産税はゼロ評価になり、固定資産税情報で所有者の把握ができません。