●まちなみ配慮のポイント |
緑が失われつつある場所に建てられたこの住宅では、世帯主である設計者が、27年間かけて様々な樹木を植栽し、その成長と共に増改築を行ってきた。
1996年の改築ではリビングをガラス貼りにした。ガラスは緑を透過させ、通りからは敷地いっぱいに成長したの緑を見渡す事が出来る。
この住宅が緑と共生する様は、この先も岡上の街に色を添えていくだろう。
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講評
リフォームによって、街並みの形成や新たな魅力を作り出すことも次第にレベルアップしてきた。その中にあって、今回の審査で審査員全員が圧倒的にこの作品を支持した理由は、建設時よりも仕上げの材料をマイナスし、よりシンプルになっていること。一度は宅地開発により失った土地の記憶を取り戻しつつ、27年もの歳月の流れの中で、ほぼ5年毎のリフォームの繰り返しによって、このような自然と一体化した景観に到達したことである。樹木は年を重ねると美しく育ち、建築は建設当時が1番美しく次第に魅力がなくなる場合が多い中で年月をかけて建築を育て、町に魅力を作ることの可能性を示した秀逸な仕事であった。残念ながらこの建物の周辺を知る街並みの写真は添付されていないが、開放的で奥行きの感じられる樹木のありようは、潤いを街並み空間に降り注いでいると思われる。
「まちなみ住宅」100選 審査委員会
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