受賞者名 窪田勝文 / 窪田建築アトリエ
作品名 I-HOUSE 海に臨む住宅


●まちなみ配慮のポイント
 瀬戸内海を臨む場所で、海岸線の風景を造る一つの要素として、白を基調としたシンプルな外観とすることで、清清しく爽やかな建築となるよう意図している。
 細かい砂利を敷き詰めた、砂浜のような駐車場は、海側の壁を透明ガラスにすることで、潮風から車を守りながら、海へと繋がるような開放的な雰囲気を造り出している。

講評
 まちなみを風景として捉らえた今までにない作品である。対岸に厳島神社を臨む瀬戸内海に面した突端の敷地に位置し、遠くに山並や水平線に浮かぶ島々、間近に牡蠣筏が浮かぶ美しい風景を力強い造形的な白い壁が象徴的に引き締めている。
 広く開放され、あたかも海と対話するかのようなこの建物は背後の既存集落に白い壁で向き合うが、そのコントラストが美しく調和し、違和感は無い。また車庫部分を海に向かって開放し、枠取りされた景色を背後から眺めさせるという演出も忘れない。
 この作品は建物の優れたデザインだけに目を奪われがちではあるが、周囲の環境から風景として捉えると別の視点が浮かび上がる。自然環境に恵まれた眺望の良いロケ−ションに建つ建物がしばしば周囲の風景を壊すのを見るにつけ、この作品の良さが際立ってくる。

「まちなみ住宅」100選 審査委員会
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