●まちなみ配慮のポイント |
敷地は区画整理された郊外の住宅地。それぞれの家は塀に囲まれ、道路からの印象は奥行きに乏しく平坦なものとなりつつあります。
近くには区画整理前の旧市街地があり複雑に入りくんだ家並みは、街並みに奥深さと新鮮さを与えています。
この住宅では安全で見通しのよい新市街地の良さに旧市街地のもつ魅力を併せもつことはできないかと考えました。
敷地奥まで引き込むボリュームは道行く人の視線を奥の方にまで誘い、駐車スペースと合わせて道路からの開放感を与えています。
同じボリュームの操作が三棟連なるII期計画が完成した際には、さらに複雑さを増し、街並みに豊かな魅力を与えるものと考えています。
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講評
区画整理された郊外型の戸建住宅地では、一般的な家並みが単調に続くことになりかねない。この住宅では、あえて色彩を白と黒に限定し、横長の窓をストイックに配置することで、優れたデザインのファサードを道路側に提供している。また、どうしても塀で囲みがちな敷地において、駐車場と前庭空間、そしてアプローチを一体的な空地とすることで、まちなみに奥行きを与えている。半ば仕切られた白い壁を通ると住宅内部とゆるやかにつながった空間となっており、セミパブリックとセミプライベートな空間を建築的に構成した点が高く評価された。このようにデザイン性は高いが、色彩などについては奇をてらうことなく、落ち着いた建築に仕上げているため、他の住宅との調和性も高く、まちなみに貢献している。
「まちなみ住宅」100選 審査委員会
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