講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


6. リノベーションスクールによる事業化Bcomichi かわらぐち
徳田:  香春口周辺の街並みは概ね戦後にできたものです。高度成長期には飲み屋街として栄え、かつては映画館もありました。その後、飲み屋街としては衰退してしまいましたが、最近はマンション開発が盛んになり、北九州で唯一人口が増加している地域になります。
私たちは、この周辺は住環境を整えていくべきエリアだと捉えています。しかし、北九州には東京のような経済規模はありませんから、再開発だけで木造密集地域を再生するのは困難です。そこで北九州家守舎では、香春口周辺の住環境整備をリノベーションによって進めています。これまで、この周辺で4物件の空き家をお借りし、私たちの投資でリノベーションを行って賃貸に出しています。
2016年5月にオープンした「comichi かわらぐち」はその一つです。54mの通路に11軒の飲み屋が立ち並ぶ長屋でしたが、私たちが発見したときにはスラム化していました。しかし、手を加えれば素晴らしくなるという確信のもと、大家さんに許可をもらって第7回リノベーションスクールの対象案件に取り上げることにしました。
鈴木:  どういう事業計画が提案されたのでしょうか。
徳田:  子育て中のママさんが多い地域なので、そうした方々が子連れで気軽に立ち寄れる店舗を集めるというものです。また、起業の場としても手頃だと考えました。もっとも、入居者を集めるため家賃を抑えることにしたので、厳しい工事費となりました。そこで、北九州家守舎の投資は内装の解体・撤去とスケルトン改修に集中させました。
一方、店舗のインフィル部分は、入居者のセルフリノベーションに任せています。comichi かわらぐちでは、「botanical & Tea」というカフェを北九州家守舎が運営していますが、第10回リノベーションスクールではこの部分のインフィル改修をセルフリノベーションコースの対象案件にしました。
佐藤:  リノベーションスクールには、「リノベーション事業計画コース」だけでなく、「セルフリノベーション施工コース」もあるわけですか。こちらはどういった方がユニットマスターをしているのですか。
徳田:  鳥取で家具から内装までを手掛けている工作社の本間公さん、つみき設計施工社の河野直さん、ルーヴィスの福井信行さん、DIY女子として有名な久米まりさんなどになります。初期のリノベーションスクールに比べると、最近のユニットマスターの方々は多種多様です。





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