ライフスタイル考現行


5.居住者インタビュー@居住者プロフィール
久須美:  石川さんは地元の日野市でずっと福祉関係のお仕事をされてきた方です。ご自宅で開かれた場所づくりをされていて、「ゆいま〜る」の開設前には入居者の懇談会をさせて頂いたんです。そのご縁で入居して頂くことになりました。
石川:  私は福祉の専門的訓練を受けた人間ではありません。筋ジストロフィーを持った長男を授かったことがきっかけで、難病対策に関する市民運動家として活動してきました。長男の寿命はせいぜい20歳と言われていたんですが、ある時その子どもから「自分が生まれてきた意味はなんだろう」と問われた。親としてどう答えていいのか悩みましたが、夢中になって働く姿を見せたら子どもの気持ちが少しは休まるんじゃないのかと考え、会社を退職して市民運動家に転身しました。

もちろん自分の子どものためでもありますが、治療方法がない難病の方でも安心して地域で共に住める町づくりはないものか、自宅を開放して地域の福祉運動として取り組み始めました。難病患者がいる場合は、本人だけでなくその家族を支えるサービスも必要になる。家族は一種のボランティアとして難病患者を介護します。しかし公的サービスには限界があって、そうした共倒れ寸前の介護家族は対象外なんです。私の子どもが近所にお世話になった経験もあって、行政の公的サービスの手の回らない部分を担当するのが市民活動の役割であると考えたんです。

昭和54年に長男が亡くなったことを契機に自宅を改造し、障がい者などを一時的に預かる愛隣舎をつくり、在宅で支援活動する市民団体に組織して今日に至りました。
松村:  愛隣舎という組織はNPO法人ですか。
石川:  1999年にNPO法人になりました。しかし市民活動にはなかなか情報が入ってこないという弱点があるので、さらに社会福祉法人創隣会を2004年に立ち上げ、こちらは2009年まで理事長を務めました。

社会福祉法人は行政とのつながりが深い。公的サービスに対して色々な提案を行うことが可能なんですが、それぞれの社会福祉法人は競合関係にありますから、具体的な話になるとなかなかまとまらない。そこで創隣会の在宅支援センターは様々な相談を受けるだけでヘルパー派遣事業はしていないんです。そうすることで様々な団体と付き合うことができて、社会福祉法人の交流拠点になっています。



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