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鈴木: |
最近ですと吉坂隆正設計の「VILLA COUCOU」の継承を実現しましたよね。日本の戦後住宅の重要作品ですから大きな成果だったと思います。
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野沢: |
住宅特集2021年5月号に住宅遺産トラストを紹介した記事を書き、その中で5年ほど前から新しい風が吹き始めたということを書きました。実際、不動産屋さんから「変わった建物が建っている。どうやら建築家が設計したらしいので相談に乗ってほしい」といった問い合わせが来ることがあったのです。その中に谷口吉生さんの初期の住宅、「雪ヶ谷の家」がありました。彼らは古い建物を解体対象としか見ていないんだろうと思っていましたが、それもどうやら古い常識になり始めている。
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木下: |
宅建業者は、古家を壊して土地で売るというのが常套手段なので、建物を壊さずに売ってくれと言われても経験があまりないわけです。「雪ヶ谷の家」の場合、幸運なことに所有者に売却の依頼を受けた宅建業者さんが建築に造詣が深かった。谷口吉生さんの処女作で状態もよく素敵なデザインだったので、これは壊してはいけないと考え、住宅遺産トラストに相談して下さいました。
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