(4) 住宅団地再生に向けた政府の取組
- 政府としても住宅団地再生の応援を進めています。令和元年には地域再生法の一部改正により地域住宅団地再生事業を創設しました。これは自治体が、区域を定めて、多様な主体と連携して住宅団地再生のための総合的・一体的な事業計画を作成することで、多様な建物用途の導入や地域交通の利便性向上、介護サービス等の充実に係る各種行政手続をワンストップ化し、住宅団地再生の円滑な実現を図るものです。そして、住宅団地の再生はこの事業だけで進むものではなく、住宅団地に関わる方々の活動が日の目をみるということが必要です。政府では平成29年には住宅団地再生連絡会議を設立しており、様々な方々のご意見やご提案を検討してきました。
- 住宅団地再生に関するご意見を伺う中で、大きな課題として挙げられたことは、住居系の厳しい用途規制がかけられているため、商業施設などが導入できないということでした。この問題につきましても、地域再生法改正での対応を検討しています。また、さらに、補助事業など資金面での応援も進めています。
- 住宅政策は大きな転換点にあります。そして住宅団地再生には地域の方々が取り組んでいる努力に勝るものはなく、政府が地域の方々と一緒に検討していくことが必要と考えています。しっかりと議論を重ね、我々がサポートできることがあれば教えていただければと考えています。
(5) 住宅団地再生の担い手
- 昨年の夏くらいから、東京大学の大月敏雄教授と一緒に、今後の住宅政策の展開についての勉強会を進めています。住まいのことなので建築関係の方々が参加されていますが、それだけではなく、不動産関係など、建築とは違う切り口で参加されている方々もおられ、新たに教えていただくこと、気づかされることが沢山あります。
- 一例として、この十数年の間、空き家対策の分野は産業として大きく変わってきました。10年前まで空き家対策の技術と資材流通は、壊れたところを直すリフォーム程度のものでしたが、リノベーションして、付加価値をつけるというものに変化しています。こうした空き家ビジネスは一般の不動産業者の方々でもできるようになっています。昔は想定されなかった新しい住まいや新しい技術が、現実のものになってきたと考えています。
- 住宅団地は空き家や老朽化といった課題はありますが、インフラや街並みの整った、優れた居住環境が形成されています。先駆的な取組で空き家ビジネスを成長させてきた方々にお話を伺うと、住宅団地は面白いそうとのご意見があります。
- 住宅団地には、知識や社会経験のある方々が住んでおられます。新しい方々と、住んでこられられた方々それぞれの活躍の場になると考えられます。団地再生の取組は行政・企業・専門家だけではできません。最後は人ですから、住宅団地にお住いの方々と行政・企業・専門家が再生について共に考える機会をつくり、新しい担い手を触媒として、化学変化を起こすようなことも期待できると考えています。