サービス付き高齢者向け住宅の政策に関する
国土交通省との意見交換

成熟社会居住研究会 (成熟研) では、平成29年9月25日に国土交通省住宅局安心居住推進課長石坂聡氏をお招きし、最新の行政情報等についてご紹介いただくと同時に、高齢者住宅事業に関する委員各社の現状と要望をお伝えし、意見交換を行いました。国土交通省都市局まちづくり推進課官民連携推進室課長補佐橋口真衣氏、厚生労働省老健局高齢支援課課長補佐上野翔平氏にもオブザーバー参加いただきました。

1 成熟研から高齢者住宅に関する政策提言

(1) 高齢者住宅に関する提言 (成熟研吉田座長より)

質の高いサービス付き高齢者向け住宅 (サ高住) の供給支援
サ高住は22万戸を超え、費用や生活支援サービス等、多様なものが展開されているが、人材確保の難しさが顕在化しており、IOTを活用した健康増進や見守りにより、省エネと業務負担軽減を進める次世代型サ高住の検討や研究が進められている。IOTの活用によるスタッフの日中常駐の要件等の緩和について検討をお願いしたい。
サ高住の類型
多様で、質の高いサ高住を供給する上で、入居を希望する高齢者等がそれぞれのニーズに合ったサ高住を選択しやすいよう「サ高住情報提供システム」のユーザーインターフェイス機能などの拡充を図り、運営実態を明確化することが必要である。サ高住における様々なトラブル発生が指摘されているが、その原因の1つは契約前に利用者側への必要な説明が行われていないことと考えられる。認知症発症時の対処や看取りの体制、サービス費用、日中夜間のスタッフ体制といったことを正確に分かりやすく利用者に伝えることが必要である。
さらにサ高住のこの5年間を振り返ると、“サービス付き”という名称から、見守りがベースというサ高住のもともとの位置づけとは異なるイメージを利用者が持つ傾向があった。介護事業所併設型や医療機関連携型、リハビリ強化型といった、特徴のある様々なサ高住が、利用者の視点から分かりやすくなるような、類型化を検討することが必要である。
在宅介護・在宅ケアを受けやすい住宅リフォームの支援制度
可能な限り自宅に住み続けたいということは多くの人の願いである。団塊世代は2025年には後期高齢者となる。団塊世代の住宅を在宅介護・在宅ケアが受けやすくすることは、住宅ストックの質の向上のみならず、社会保障にかかるコストを軽減するためにも、重要な課題である。
将来、在宅介護・在宅ケアが受けやすい住宅とする、健康リフォームの普及促進を支援する制度を検討すべきである。健康リフォームの具体的なイメージとしてはヒートショック対応、寝室と水回りの関係、屋外のバリアフリー設計、夜間の鍵対応などが考えられる。
自宅の耐震診断と在宅継続診断、先行配慮改修が行われることで、寝室とトイレ洗面の近接や、道路から玄関のバリアフリーによる通所ケアのやりやすい自宅づくり、外部サービス動線の確保による訪問ケアのやりやすい自宅づくりが行われる。自宅に住み続けるためには、 地域包括ケアといったソフト面と同時に、こうしたハード面の整備が必要と考えられる。

(2) 国土交通省石坂課長より